近江高校(滋賀県彦根市)を春夏合わせて23回甲子園に導いた多賀章仁監督(65)が10日、今月末で退任することに伴い、同校で記者会見を開いた。記者との主な一問一答は次のとおり。
――監督の中でやり切れましたか。
あと2勝を更新したかったな、というのは私の思い。(甲子園で)28勝もできて、こんな幸せなことはないです。
――どんな期待を新監督にかけられますか。
部長・監督コンビがやっぱり大事だと思います。小森(博之・新監督)がやりたいようにやれるようにできるかどうかは、部長にかかっていると思います。
これからの指導は、生徒がどういうふうになりたいのか、どういうチームにしていきたいのかというところで、正しい方向へ導いてやるのが大事だと思います。
部長と監督。そこのところが、ここからの近江野球の鍵になっていくかなと思います。
――これから、近江や高校野球をどんなふうに見つめていきたいと思っていますか。
滋賀県高校野球連盟にも本当に大変お世話になりました。高校野球に恩返しができるようなことができれば、というふうな気持ちで今はいます。
――監督を退任されることになった経緯を教えてください。
後進に道を、ということで言われましたのは、去年の夏の大会が終わってからです。3月までは副校長で監督というかたちで、そして4月以降は総監督というかたちでということを言われました。
――そのとき、どういう思いを持たれましたか。
夏の大会がコールド負けだった。そういう中で何とか秋という思いでいました。結果的に秋もコールド負けしてしまって、こういうかたちになったということです。
――36年の監督生活の中で貫いてきたもの、大切にされてものを教えてください。
どこまで行っても主役は高校生。とにかく主役の彼らをその気にさせて、夏の大会に向けて本当にチームが一つになっていく過程で、自分がいま何をできるか、いま最善を尽くせるか、そういうことを生徒主体でやっていくような、そんなチーム作りを一番念頭に置いてやってきました。
やっぱり自分の思いを押し付けない、ということが大事かなと思います。それが行き過ぎてしまうと、やっぱり絶対駄目だと思います。
――滋賀県勢初の甲子園優勝にかける思いを聞かせてください。
いかに純真に、甲子園で自分の野球にかける思いであったりとか、本当に真っ白な気持ちでそのボールと向き合う。横着な気持ちは捨てて戦えば、僕は絶対、つぎはやれると思いました。
だから十分、滋賀県の学校も可能性はある。これからの甲子園で、この令和の時代にあると思います。
――八幡商などがいて、近江が成長して全国で勝てるようになり、滋賀県の高校野球のレベルが上がったということでしょうか。
北大津、八幡商、比叡山ですね。比叡山が全国レベルに引き上げたというのはあると思います。比叡山が当時の滋賀県を大きくリードしていたと思います。
滋賀県は弱い弱いと言われていますけど、そんなことはないと思います。
いま滋賀県で代表を取ろうと思ったら、準々決勝から三つ勝ち上がるには、相当な力がいる。そういう覇権を競うような状況がいま出てきていますので、甲子園に行っても、そこそこいけるというチームが最近はそろってきていると思います。(甲子園優勝は)絶対そのうちにあると思います。
――部活の指導者としての信念や方針を聞かせてください。
メンタルで子どもの部分を残している生徒の心を鍛える、ということは大事だと思います。
一番大事なのは、やっぱり愛情、熱量、情熱だと思います。そういうところを見て人は感動しますので。
もう(教え子でプロ野球・西武の)山田陽翔を見ている時は、私も山田の最大のファンになって甲子園に行っていましたから。今日はどんな試合してくれるのかな、と。これが一番ですよね。